心理療法-交流分析2-脚本分析1 Ver.2

  生きるのが楽になることに関して交流分析の中で一番関連するのは脚本分析です。現在うつの治療として使われる認知行動療法では、間違った思い込みを持つに至った理由をあまり問題としません。交流分析ではその原因を探り根本治療を試みます。

  構造分析およびエゴグラム、やりとり分析、ストローク、人生の立場などはネットでわかりやすい解説があふれています。それらを参考にされてください。またゲーム分析はいずれ触れる予定です。脚本分析を2回に分けて解説予定で、その1回目です。

交流分析における人生の考え方
 人生は各自が脚本を演じているプロセスであり、不幸な人は不幸な脚本を演じているにすぎない。幸福になろうとすれば脚本を書き換えればよい。脚本は主に両親のメッセージを受け入れて自分が書いたものであるから。「カウンセリングの理論」から一部改変

 #脚本の定義 
子ども時代に作られた無意識の人生計画で両親により補強され、以降に起こる様々な出来事により正当化され、最終的に選択された無意識の人生計画。

#脚本の特徴 
1)自分の人生のために特定の計画を立てる。2)幼児決断が脚本の基になる。3)両親は子どもの脚本を決めることはできないが様々のメッセージを与えて子どもに多大な影響を及ぼすことができる。4)多くの人は自分で決断したことを気づかない 5)現実は脚本を正当化するために再定義される

#脚本はいつできるのか TA第2版では7才までに要点を完成させ12才までに磨き上げる。安部さんの本では67才で筋書きを書き2022才で書き上げるとなっています。

#脚本は何故できるのか
様々な幼児決断が組み合わされてできたものです。しばしば敵意ある、生命を脅かすようにさえ見える世の中を生きのびていくための、幼児が最もよいと考えた生き方を表していると考えます

#脚本の内容
  勝者、敗者、平凡な脚本と3種類に分けられます。
  幼児期に両親から充分にストロ-クをもらっていると勝者の脚本をもつ。これは自分の人生を自分で切り開き、自己実現に向かう脚本です。一方両親やその代わりになる人から適当な世話を受けず十分なストロ-クが得られなかった人は敗者の脚本を持ちやすく、悲しい結末を迎えることが多くなります。大多数はそのどちらでもない平凡な脚本です通常私たちの脚本は3つが混在しています。

#脚本のタイプ(プロセス脚本)
  バーンは脚本のパターンが主に6つであることに気づき、脚本のタイプと呼びました。現在はタイプではなく、プロセス脚本と呼ぶようです。
 ~までは untill あることを達成するまで幸福になってはいけない
 ~の後では after 順調に進んだ後悪いことが起きる
 決して never 自分の一番欲しいものは手に入らない
 いつもいつも always あなたたがそれをしたいなら一生やったらよいでしょう。
 くり返し くり返し over and over 成功を目前に失敗をすることと、一つのことが仕上がると、すぐに次の目標に向かって走り出すの二つです
 結末のない open ended ある時点まで来たらその後自分でどうしてよいか分からない

推薦図書

訳本 TA TODAY 第2版 実務教育出版社 原著は’12年 ’22年にようやく訳本がでました。どのようにTA理論ができあがったのかわかります。現在の標準的なTAを示す本です。最もおすすめです。値段が高いのが難点

交流分析に基づくカウンセリング 倉成宣佳 ミネルヴァ書房 2015 初めとっつきにくいと思いましたが、理解を深めてから読むと理解しやすい本であることがわかりました。日本人が書いた本としては一番まとまっていると思います。

自分の人生を変える交流分析 繁田千恵 風間書房 2021 自身の体験も書かれているが、TA全体がコンパクトにまとめられている。また日本における歴史が書かれていて、現在の状況の意味が分かる

カウンセリングの理論 國分康孝 誠心書房 ’80 交流分析は精神分析の流れを汲みます。その観点から交流分析を理解するのに役立ちます。又他の心理療法を理解するのにも使えます。古いですが読み継がれている本です。

ギスギスした人間関係をまーるくする心理学 エリック・バーンのTA 安部朋子 2008 とっつきやすい本です。

 

 


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